先週の日曜日に開催された、デジタル領域のタイポグラフィをテーマにしたセミナーイベント、「オンスクリーン・タイポグラフィ・デイ2019」。私たちシフトブレインは企業として後援しているほか、イベント当日も何人かのメンバーが参加させていただきました。

実際に参加して、イベントの大きなテーマだと感じたものがふたつあります。「アクセシビリティ」と「コミュニケーション」です。

アクセシビリティについては、オンスクリーンを題材にしたイベントだけあり、多くのスピーカーが言及していました。印刷の組版とは違って、オンスクリーン・タイポグラフィの組版はウェブブラウザーや電子書籍リーダーといったユーザーエージェントに委ねられており、そのため精緻なコントロールが難しい部分もあります。それは私たち制作者にとってときにフラストレーションになりますが、一方で印刷メディアでは得られないアクセシビリティを実現できてもいます。そういったオンスクリーンならではのアクセシビリティを損なうことなくタイポグラフィの質を高めていこう、という姿勢が多くのスピーカーから感じられました。

もうひとつ、コミュニケーションというテーマについて。コンテンツとユーザーのコミュニケーションにおいて、タイポグラフィはたいへん重要な役割を担っています。それはタイポグラフィの目的そのものとも言えるかもしれません。イベントでは実践的なテクニックの紹介のようなものはほとんどなく、コミュニケーションとしてのタイポグラフィの本質について語られる場面が多かったように思います。また、コンテンツを生み出すための、いわばタイポグラフィに至るまでのコミュニケーションの重要性についても触れられていたことが印象的でした。

このイベントは「オンスクリーン・タイポグラフィとは何か?」という問いに答えるのではなく、逆に参加者に問いかけるものであったと言えます。実際、イベント終了後の懇親会でも活発な意見交換が繰り広げられてました。Twitterのハッシュタグ#ostd2019をご覧いただくと、その盛り上がりの一端を垣間見ることができるかもしれません。タイポグラフィを軸に、広くオンスクリーンのデザインを議論するきっかけになったのではないでしょうか。

今回が第1回目のイベントですが、早くも次回以降の開催が楽しみです。関係者の皆様、お疲れ様でした。